研究課題/領域番号 |
20500355
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
長谷川 功 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60282620)
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研究分担者 |
戸田 春男 新潟大学, 医歯学系, 講師 (10217507)
飯島 淳彦 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00377186)
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キーワード | マカクザル / 大脳 / 電気生理 / 視覚 / 前頭葉 |
研究概要 |
本研究では、視覚イメージを部分的な要素画像から段階的に組み立てるダイナミックな操作の基盤となる大脳ネットワークの動作原理を解明することを目指し、1.要素図形を組み合わせた複合図形が特定の物を象徴として表す課題をマカクザルが行動学習できるか否かを検証し、2.覚醒下慢性サル標本にて電気生理記録実験を進める、という二つの下位目標を立てた。 平成21年度には、第一の下位目標ではニホンザルが象徴図形構成課題を学習できることが判った。二つの要素図形からなる組合図形が、ネズミ、街路樹、惑星、ギター、車、漢字「愛」の6つの物の画像のうち一つを記号的に表すことを覚え、物を見たらそれを表す複合図形の要素を一つずつ選ぶことが要求される。類似の課題は類人猿(チンパンジー)では学習可能なことがわかっていた(Fujita & Matsuzawa J Comp Psychol 1990)が、マカクザルが習得できることが本研究により初めて示された。さらに、特定の複合図形がある一つの物体のみならず、物体カテゴリーを表象できることを学習転移テストで示した。転移テストでは、1セット6種類ずつ順次5セットの各カテゴリーの新しいメンバーを導入し、それぞれのセットで9割の正答率の基準に達するまでに要した試行数を行動学的に計測した。その結果、最初のテストセットでは学習に700試行以上要したのに対し、セットを重ねるごとに新しいセットの学習が短縮され、4セット目以降の新しいカテゴリーメンバーは1試行も要さずに最初から基準に達した。 第二の下位目標では、サルの大脳側頭葉と前頭葉からの皮質脳波128チャネル記録のための柔軟パリレン-金電極の試作を繰り返し、また顕微鏡下で局所微小血管網への侵襲を最小限に抑えて柔軟多点電極を広範囲の脳表および脳溝内に留置する手術を繰り返しながら習熟した。さらに局所フィールド電位多点収録/表示/解析系を構築した。
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