研究課題
マカクザルに、図形文字を組み合わせた複合図形により物の名前を記述させる、『象徴構成見本合わせ課題』のパラダイムを開発した。この課題では、二つの要素図形からなる組合図形が、ネズミ、街路樹、惑星、ギター、車、漢字「愛」の6つの物の画像のうち一つを記号的に表すことを覚え、物を見たらそれを表す複合図形の要素を一つずつ選ぶことが要求される。まず、オペラント条件付けによって二頭のニホンザルに複合図形と物体との連想を学習させると、物体を見せただけで、複合図形を構成する二つの要素図形を4つの選択肢の中から正しく選ぶことができることが、最初から有意にできることがわかった。また、二つの要素図形を選ぶ順序は指定していないにもかかわらず、一定の順序で選ぶ傾向が学習の進行とともに強化されることがわかった。さらに、特定の複合図形がある一つの物体のみならず、特定の物体カテゴリーを表すことを学習できることがプローブテストによりわかった。前頭葉広範囲を覆う薄膜ECoG電極(極間2.5mm)と電極留置手術法を開発し、課題遂行中のサルから神経活動を多点記録した。その結果、前頭葉の外側前頭前野を中心とした領域において、視覚応答と遅延期間の応答が課題依存的に認められることがわかった。要素図形の合成を要求される象徴図形構成課題においては、条件性反応を要求される対連合課題に比べて、刺激提示直後より視覚応答が認められ、応答が早く増強した。この結果により、視覚イメージを段階的に組み立てるときに、前頭前野で目標図形の予期とイメージのダイナミックな操作に関連した神経活動が生じることが示唆された。
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Neuroimage
巻: 54 ページ: 203-212
新潟医学会雑誌
巻: In press