私たちは先の研究にて、強度のストレスを受けて、海馬、下部、視床下部などでミクログリア活性化が起こってくることを報告した。しかし、そのメカニズムは不明であった。本研究において、ストレスによるミクログリア活性化のメカニズムの解明を目的に、ラットを用いて検討した。ストレス負荷後、脳内の中心灰白質(PAG)にて著明なミクログリア活性化を認めた。今回明らかになったのは、神経活性化マーカーであるFos蛋白を発現する神経細胞が存在する部位にて、ミクログリアあ細胞肥大が著しかったことである。ぞの結果を元に、私たちは、神経細胞から何らかのシグナルが出て、それがミクログリアの細胞体肥大を引き起こしてとする仮説を提唱した。実験方法は、(1)強度のストレス負荷、(2)LPS(グラム陰性細菌壁由来の感染誘引物質)負荷をそれぞれ行い、神経活性化とミクログリアの相関関係を調べた。神経活性化の指標としてFos蛋白を用いた。その結果、(1)のストレス負荷動物において、Fos蛋白発現部位に特異的にミクログリア活性化が起こっていた。対照的に、(2)にては、神経活性化と関与せず、ミクログリア活性化が生じていた。以上の結果は、この結果は、ストレスによるミクログリア活性化が、炎症や感染によって起こってくるそれとは明らかに異なることを示した。現在のところ、ミクログリア活性化の迅速性や、PAGにおける神経特性より、グルタミン酸やノルアドレナリンなどの神経伝達物質が仲介となり、ミクログリア活性化を引き起こしているものと考えられる。
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