研究概要 |
本研究ではストレスによるミクログリア活性化メカニズムの解明を進めている。私たちは、交感神経系を活性化を介し脳内免疫の応答という仮説を基に、実験を進めた。ラットを4度の寒冷環境に2時間負荷した。ストレスレベルを確認するため、ACTH,副腎皮質ステロイドホルモンを測定した。寒冷によるストレスレベルは、拘束ストレスによる負荷に相当し、十分な高値を示した。脳内でのグリア細胞の応答では、ミクログリアが著名な活性化を示した。海馬、視床、視床下部、中心灰白質、黒質で、活性化は著名であった。寒冷ストレス負荷開始後、30分で、既に顕著な肥大化を示した。一方、アストログリアは形態的な変化を示さなかった。更に、炎症性サイトカインであるインターロイキン1β(IL-1β)の発現を検討する。IL-1β発現細胞数は、海馬、視床下部において著名な増加を示した。次に、IL-1β発現細胞を検討する。これまでの報告ではミクログリアからの発現が確認されていた。本研究でのコンフォーカル顕微鏡にて、IL-1βはミクログリア、神経細胞からは発現されていなかった。IL-1β陽性細胞はアストロサイト(GFAP)発現細胞と一致した。以上の結果より、寒冷環境下において、脳内ミクログリアは活性化を示すこと、そしてIL-1βがアストログリアから発現されることが示された。一方、ミクログリア培養細胞を用いた実験では、神経伝達物質による炎症惹起への関与を検討中である。
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