研究課題
本研究ではストレスによるミクログリア活性化メカニズムの解明を検討した。ミクログリアにはグルココルチコド受容体、ノルアドレナリン受容体発現が知られている。私たちは、ミクログリアセルライン(MG6)およびプライマリーミクログリア培養細胞を用いて、RT-PCR法、ウェスタンブロット法によって検討する。セルライン、ウライマリーのいずれでも、アドレナリン受容体β1、β2の発現があった。しかし、β3受容体の発現は無かった。次に、β1、β2アドレナリン受容体アゴニスト(イソプロテレノロール)添加によって、その応答を検討した。アゴニスト単独、LPS添加と組み合わせて投与したところ、炎症性サイトカイン(インターロイキン6)の発現に影響は見られなかった。次に、培養ミクログリア細胞に、副腎ステロイド(デキサメサゾン)添加実験を行った。結果、LPS投与による炎症性サイトカイン発現は、著しく抑制された。更に、ノルアドレナリン受容体欠損マウス(ダブルノックアウト)およびワイルドタイプマウスを用いて、急性拘束ストレスを負荷したところ、ワイルドタイプマウスでは著名なミクログリア活性化を示した。一方、ダブルノックアウトマウスでは、ストレスによるミクログリア活性化は殆ど起こらなかった。以上の結果より、ストレス時に起こるミクログリア活性化は、交感神経系由来のノルアドレナリンが、脳内ミクログリアβ1、β2受容体を介して、活性化を引き起こしていることが示唆された。又、副腎皮質ホルモンは、ストレス時のミクログリア活性化を抑制するものと考えられた。
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