研究概要 |
本研究課題は、機能的MRIを用いて学習課題を行っている際の脳活動の可塑的変化を詳細に捉え、それを手がかりにして連合学習時のシステムとしての脳の振る舞いを明らかにすることを目的とし、研究を行っている。昨年度までにシステムとしての振るまいが分析できる解析手法の実際のデータへの適応を行い、機能的MRI研究で注目されているDynamic Causal Modeling (DCM)の本研究における有効性を確認した。今年度は昨年学会に発表したベンハムのコマを用いた主観的色知覚実験を論文化し、Cerebral Cortex誌に投稿し掲載された。また、昨年度までに解剖学的構造解析に用いる拡散異方性画像(Diffusion Tensor Image, DTI)の生理研のMRI画像撮像の最適パラメータを決定し、健常被験者のデータを多数取得した。それらのデータをトラクトグラフィ化しその確率分布を取得しようとしたところ、画像としては最適パラメータであっても、解析が上手くいかない(画像に問題がある)ことが分かった。色々な手を施したがこの装置による画像では上手くトラクトグラフィ化出来ないとの結論に達した。この結果をもって、脳の構造としての領域間結合解析は断念することとした。 この学習系の解析は学習一般に敷衍できることから、応用例として外国語学習の脳活動変化に注目し、2つの機能的MRI実験を行った。1つめの実験はウズベグ語と具象絵の連合学習課題であり,実験を終了し現在精力的に解析を行っている最中である。2つめは英語学習者を語彙操作レヴェルで相関をみる実験であり、現在遂行中である。本研究課題は本年度が最終年であったが、DTI画像の解析に時間を割いた結果、少し進捗が遅れている。しかしながら結果は出つつあるので、しっかりと解析を進め当初の目的を果たすべく努力する。
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