研究課題
有髄神経線維のランビエ絞輪パラノード部に局在するCasprタンパクに遺伝子変異を持つshamblingマウスは、月齢ともに後肢の突っ張り麻痺などの症状が進行する。本年度は、生後1年齢のマウスで中枢と末梢神経系における有髄神経線維の異常を解析する以下の研究を行った。1:電子顕微鏡観察による観察末梢神経系では坐骨神経、中枢神経系では小脳の白質で有髄神経線維を観察したところ、両者ともにパラノードジャンクションの欠失がみられた。さらに小脳では、軸索内に異常なミトコンドリアや、変性した細胞内小器官を含む封入体が観察された。このことから、生後2~3ヶ月齢で観察されたパラノードやランビエ絞輪部の異常が軸索内部へも進行していると考えられた。2:神経細胞の変性と細胞死の検討上記の観察により有髄神経線維軸索の異常が進行していることが明らかとなったことから、神経細胞体についてその変性や細胞死の有無を検討した。生後1年齢のshamblingマウスの小脳では、多数のプルキンエ細胞の消失がみられた。TUNEL法による解析では、プルキンエ細胞の細胞死はアポトーシスではないことが示唆された。が、抗ユビキチン抗体を用いた免疫組織化学法により、プルキンエ細胞の変性と細胞死には、ユビキチン化が関与していると考えられた。昨年度の成果は、米国神経病理学会の機関誌に投稿し掲載された(別記)。また、本年度の成果は、22年度に開催される国際神経病理学会で報告する予定である。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
J Neuropathology and Experimental Neurology 68(11)
ページ: 1207-1218