研究課題
本研究の目的はニホンザルを中心としたマカクのリンパ腫発症におけるサルガンマヘルペスウイルス関与の実態を明らかにし、マカクを用いたヒトガンマヘルペスウイルス(γHV)関与リンパ腫モデルを作出することである。具体的には、ニホンザルとタイワンザルを対象として、過去に死亡した個体の血液試料及びホルマリン液漬標本を対象とし、血液試料を用いてγHV感染状況の把握を行うと同時にホルマリン液漬標本の病理学的検索によるリンパ腫発生状況の把握を行った。平成20~22年度において京都大学霊長類研究所に保管されているニホンザル及びタイワンザルのサンプルについて検索を行った。その過程で、sEBV関与によるTリンパ腫の可能性が高いニホンザルとタイワンザルの症例をそれぞれ1例ずつ発見し確認作業をしている。その中で、ニホンザルについては論文として投稿中である。同一個体について病理液漬標本と血液を用いてサーベイしたところ、sEBV感染個体数に比して腫瘍発生例数が低いことが確認された。平成23年度には、タイワンザルについて台湾の台北動物園および屏東科技大学野生動物レスキューセンターに飼育されている個体の血液試料を対象に調査したところ、sEBVの再活性化を示唆するデータが得られた。これらの結果はタイワンザルがニホンザル同様にγHV関与リンパ腫発症の可能性が高いことを示唆しており、今回の研究によって両種がヒトガンマヘルペスウイルス(γHV)関与リンパ腫モデルの作出に適していることが明らかになった。また、申請者の研究所で発生したサルレトロウイルス(SRV)によるニホンザルの血小板減少症を考えると、同じマカクでも種が異なれば発現型(発症型)も変化する可能性があり、更なる詳細な検索が必要である。
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