平成21年度の研究により、以下の結果を得た。 1.選抜交配により、平成21年4月から12月の間にWHHLMIウサギ147匹を生産した。 2.WHHLMIウサギの腹囲は加齢により37.7cmから39.7cmに増大し、腸間膜における脂肪蓄積量は60.9gから94.8gに増加した。 3.内臓脂肪蓄積を伴うWHHLMIウサギでは糖負荷試験では血清インスリン値の増加が著しく、正常WHHLMIウサギに比較してインスリンインデックスが約2倍に上昇し、インスリン抵抗性が示唆された。 4.相関解析の結果、成熟齢における内臓脂肪の蓄積量は大動脈の病変面積および血清CRP値と有意な正の相関を示した。 5.高月齢においては、内臓脂肪蓄積量は体重、腹囲、空腹時血清インスリン値、インスリンインデックス、血清中性脂肪値、血圧と相関を示した。 以上の結果から、内臓脂肪の蓄積量が多いWHHLMIウサギはメタボリックシンドロームのモデル動物として優れていることが示唆された。内臓脂肪の蓄積と動脈硬化との相関解析では、成熟齢で有意な正の相関が認められ、高月齢では相関が認められなかった。WHHLMIウサギの大動脈動脈硬化病変の内膜面における割合が、成熟齢では40-70%であるのに対し、高月齢では大動脈内膜面の80%以上が動脈硬化病変で覆われていた。したがって、成熟例では内臓脂肪の蓄積量と大動脈病変の相関解析が可能であったが、高月齢では大動脈のほぼ全面が病変で覆われているため、内臓脂肪蓄積の影響を評価することができなかったためと考えられる。また、血清CRP値も同様の結果であったが、血清CRP値は動脈硬化と相関することが知られており、高月齢では動脈硬化が進行していたため、血清CRP値と内臓脂肪蓄積との間に相関が認められなかったと考えられる。
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