平成22年度の研究によって以下の成果が得られた。 1.メタボリックシンドロームのモデル動物を開発するために平成22年に132匹生産した。 2.メタボリックシンドロームの指標となるHOMAIRが高値の両親、片親がHOMAIR高値、両親ともHOMAIRが低値の場合の仔ウサギの解析では、HOMAIR高値の仔ウサギの頻度は両親がHOMAIR高値の場合で頻度が高く、両親ともHOMAIR低値の場合で頻度が低かった。この結果はメタボリックシンドロームが遺伝することを示唆している。 3.平成21年度及び平成20年度に生産したWHHLMIウサギを用いて、糖負荷試験、インスリン負荷試験を実施し、糖代謝異常について正常ウサギと比較した。正常ウサギに比較してWHHLMIウサギでは絶食下の血清インスリン値が高値を示し、Matsuda-DeFronzo indexが低値を示し、WHHLMIウサギでメタボリックシンドロームが示唆された。 4.平成20年及び21年に生産し、平成21年と22年に死亡したWHHLMIウサギ237匹について調べたところ、加齢により内臓脂肪の蓄積量が16月齢まで増加し、メタボリックシンドロームが進行した。16-24月齢ではほぼ一定であった。 5.12-15月齢のWHHLMIウサギ40匹の解析で、内臓脂肪の蓄積量が増加にともなって大動脈動脈硬化病変が有意に増加した。 6.内臓脂肪の免疫組織染色で単球及びCRPが陽性であった。 以上の結果から、WHHLMIウサギはメタボリックシンドロームのモデル動物として有用であることが示唆された。
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