研究概要 |
脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)は、重篤な高血圧を起こす遺伝的モデルであり、その原因遺伝子は複数の染色体にまたがって存在していることが明らかになっている。本研究の目的は、正常血圧を有する対照ラット(WKYを使用)にSHRSPの有する高血圧遺伝子領域を順次導入し、位置の明らかな有限個の染色体領域のみがSHRSP由来である二重~四重コンジェニックラットを作成することによって、明らかな高血圧を示す系統を再構築することである。このような「再構築SHRSP」ができれば、(1)血圧に影響する遺伝子領域のみがWKYと異なる純粋な遺伝的モデル動物として実験に使用でき、(2)高血圧遺伝子間の相互作用についても検討が可能となる。このようなモデルは、高血圧発症機序の研究に、従来にない知見をもたらすことができる。 第1染色体の高血圧領域をコンジェニック化した系統とSHRSP間でのQTL解析をもとに第13,9染色体をターゲットに選び、さらに第3染色体上の遺伝子を候補遺伝子として、第1染色体の高血圧関連領域に加えて、第13染色体、第9染色体、第3染色体の一部をコンジェニック化した2重コンジェニック、および染色体1,9,13番の3重コンジェニックの表現形質の検索をおこなった。それぞれ20匹以上の個体をもちいて血圧値の比較を行ったが、コンジェニック化した遺伝子領域の血圧への効果は有意といえなかった。今後、ストレス反応性などより詳細な表現形質の検討が必要と考えられる。
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