研究概要 |
これまで電流検出型DNAチップによる診断法を確立した。今年度の研究ではこれら病原体診断以外、特に腸内細菌の検出および宿主の免疫応答迅速診断のためLactobacillus casei、Bacillus subtilisを用いて宿主マウスの免疫応答および菌の動態を調るため乳酸菌および納豆菌の経口投与がダニ抗原によるアレルギー性皮膚炎軽減に及ぼす影響をアトピー性皮膚炎好発マウスであるNC/Ngaマウスを用いて検討した。10週齢♀NC/NgaTnd Crjマウスの背部と耳介の毛を除毛し、ダニ抗原由来の軟膏(ビオスタAD)を週2回塗布してアトピー性皮膚炎を誘発させた。塗布開始と同時にLactobacillus casei(LC ; JCM1134株)またはBacillus subtilis ver natto(BS ; JCM20036)を1-3×10^<17>CFUを週6回、各5匹のマウスに経口投与した。陽性コントロールとしてアレルギー誘発・菌非投与群3匹、陰性コントロールとしてアレルギー非誘発群3匹を用いた。実験開始4週後、皮膚肉眼病変の程度を発赤・出血、痂皮形成の程度、浮腫の程度および擦傷の程度をもとにスコア化し、および病理学的検索(HE染色およびトルイジンブルー染色)を行い皮膚の肥厚の計測、および肥満細胞の数を算定した。1.肉眼病変では陽性コントロールに比べて菌投与群ではいずれも病変の軽減が認められた。2,病理学的検索では菌投与群では皮膚の厚さが平均31.2μm(LC投与群)および34.3μm(BS投与群)であったのに対し、陽性コントロール群64.0μmではであり、陰性コントロール群では32.8μmであり、菌投与群では陽性コントロール群と比較し、有意に肥厚が軽減されていることが示された。3,肥満細胞数はHPFの5視野中にLC投与群では平均68 cell、BS投与群では69 cellおよび陽性コントロール群では139 cell、陰性コントロール群では49 cellであり、菌投与群では陽性コントロール群と比較し有意に肥満細胞の減少が認められた。以上の結果からダニ抗原によるアレルギー性皮膚炎はLCまたはBSの経口投与によって軽減されることが示された
|