研究概要 |
投影数がCTの数10から数100分の1に限定されるトモシンセシスを, 画像形成論的な観点から見ると, CTに比べさらに著しい悪条件下での再構成を強いられることを意味する. したがって, 有効に情報を取得するための撮像方式の検討, およびアーチファクトを極力低減し, また欠落情報を補うような情報処理の考案が必要不可欠となる. 以上から, 本申請に係る研究課題では, 軟部組織などにも高感度で, 低被曝量で3次元情報を復元できる屈折コントラスト・トモシンセシスにおける再構成アルゴルズムの新たな開発とその撮像性能の評価に取り組む. 本年度の目標は, (1)測定過程の数学的モデルの構築, (2)再構成アルゴリズムの導出, (3)シミュレーションデータの作成であった. (1)に関して, X線の被写体内の伝播のようすを数学的に記述することで, 測定過程の数学的モデルを構築した. 本モデルは幾何光学的屈折理論に基づいた考察がより導出された. (2)に関しては, 光源として放射光X線を用いる際に, もっともふさわしい撮像系である平行ビームによる投影取得方式において, Shift-and-add法とBackprojection法が同じ再構成処理手順になることを示した. (3)に関しては, 再構成アルゴリズムの有効性を示すために, シミュレーションデータを作成した. さらに, 効率的にデータ処理を行うためGUIを有する再構成用ソフトウェアを開発した. これにより, 従来に比べ格段に効率的にデータ処理を行うことが可能になった.
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