研究概要 |
本研究では、不整脈の成因の一つと考えられる激発活動(Triggered Activity)の研究に重要と考えられる、心筋標本での興奮伝播の際の細胞膜活動電位と膜活動電位・Ca動態高空間時間分解能の同時計測システムを試作を行った。心臓標本からの蛍光信号をカットオフ波長630nmのダイクロイックミラーで分割し、一方をカットオフ波長700nmのロングパスフィルタ、そして他方を中心波長585nmのバンドパスフィルタを透過させ、2台の高速度カメラで撮影するシステムを構築し、実験を行った。また、膜電位画像とCa画像を正確に重ね合わせるためのレジストレーションアルゴリズムの検討を行った。心臓標本に投影したレーザスポットを対応点群として用いるPoint Based Registrationの後に,相互情報量の最小化によるレジストレーションを行うことで,二乗平均誤差で2画素の正確なレジストレーションを行うことが可能であった。これを用いてウサギランゲンドルフ灌流心標本の膜活動電位,細胞内カルシウム同時計測を行った。 昨年度検討したフィルタ切り替え機構を有する撮影システムの光路設計を見直し,分光フィルタ位置で計測光を絞り、再びカメラの撮像素子に復元する光学系を設計した。その結果、中間像の大きさΦ9mmまで絞ることができ、なおかっ物体側NA0.1、像側NA0.173の明るさを確保した。解像度については物体上中心3LP/mmでMTF0.6以上を実現した。フィルタの切り替えと高速度カメラの露光を同期させるため、PLLを用いた位相同期制御系を構築し,125FPS、露光時間4msで同期を確認した。同時計測の検証は行うことはできなかったが,本システムにより,ウサギランゲンドルフ灌流心標本の膜活動電位,細胞内カルシウム濃度計測が可能であることを個別の計測により計測により確認した。
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