インスリン抵抗性指標(α)によるインスリン抵抗性の評価 これまで、インスリン抵抗性評価の基準となる高インスリン正常血糖域クランプ法によって算出されるブドウ糖注入率(M値)と、本研究にて作成したモデルを適用することにより算出されるインスリン抵抗性指標(α)の関連を検討してきた。 平成22年度は、様々な程度のインスリン抵抗性を有する患者に高インスリン正常域血糖クランプ法を施行し、1分毎のブドウ糖注入率と30分毎の血中インスリン濃度のdataを収集した。さらに、本研究にて作成したモデルを適用することによりインスリン抵抗性指標(α)を算出、クランプ開始後、どれだけの時間のブドウ糖注入率のパターンから算出したものが安定しているか、M値との相関が高いか、などについて検討した。その結果、高インスリン正常域血糖クランプ法開始後、30分及び60分で算出したα(30)及びα(60)は、M値との間に相関係数r=0.635及び0.872と、いずれも有意の高い相関を認めた。このことより、高インスリン正常域血糖クランプ法開始後30分でもM値を推測することが十分に可能であるが、より精度を高めるためには、高インスリン正常域血糖クランプ法開始後60分で算出したα(60)を用いることが望ましいと考える。以上、M値によらない、新たなインスリン抵抗性を表す指標(α)の有用性が示された。さらに、多重回帰分析により、インスリン抵抗性指標αとM値との関連性に影響を与える因子分析を行った。その結果、年齢、性別、BMIが関与していることが明らかとなった。
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