研究概要 |
蛍光プローブによるイメージングは細胞内機能分子を可視化するのに大変有用であるが、蛍光プローブが細胞本来の機能を阻害する可能性が常に付きまとう。一方、ラマンイメージングは無染色で細胞内分子局在を観察することが可能であるが、従来ラマンイメージングは微弱なラマン散乱光を観測するため非常に長い計測時間を要し、生きた細胞の観察にはあまり適していなかった。しかし、最近、撮像速度が従来技術と比べて約100倍である高速共焦点ラマン散乱顕微鏡が開発された。本研究の目的は、高速共焦点レーザー走査が可能なラマン顕微鏡を用いて、非染色で細胞が生きたまま、抗癌剤の細胞内分布・代謝をイメージングすることである。我々は、抗癌剤CPT-11/SN-38の細胞内分布を非染色でラマン分子イメージングすることに成功し、本年度に論文発表(査読有)を行った(Harada Y, Dai P, Yamaoka Y, Ogawa M, Tanaka H, Nosaka K, Akaji K, Takamatsu T et al. "Intracellular dynamics of topoisomerase I inhibitor, CPT-11, by slit-scanning confocal Raman microscopy." Histochem Cell Biol. 2009 ; 132 : 39-46)。ラマン散乱光を用いることにより細胞内薬剤分布および代謝を解析することが可能と考えられる。
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