本研究は、病変部分における三次元形状と光学特性を瞬時に定量評価する内視鏡の開発を行っている。初年度は、φ10mmの小型内面形状測定装置の開発を行った。光セクショニング面を検出する計算アルゴリズムの中に、フィッティングとしてガウス関数を導入することで、10μm程度の分解能が得られた。この結果は、ガウスフィッティングを行う以前の分解能の1/10に相当し、本原理の有効性を明らかにした。さらに、小型内面形状測定装置における角度補正法を提案した。これは偏光計測で知られるエリプソメトリーの概念を用いたもので、基準となるリングゲージから装置が、どの方向に、かつ、どの程度傾いているかを定量的に測定することを可能にした。得られた結果とMEMSの角度センサの信号とを相互に解析すれば、曲がりくねった複雑な人体の三次元形状測定が実現されると期待している。さらに、コーンミラーおよび半導体レーザからなるリングビームデバイスと1対の凹面円錐ミラーおよび本装置を組み合わせれば、工業応用ではあるが、特殊パイプの内外面形状を測定した。この手法によって測定対象の肉厚測定を実現した。一方で、病変部分の光学特性、特に偏光特性を計測するための光学系および計算アルゴリズムも導出している。今後は、病変部等における三次元形状と偏光特性の関係を明らかにする予定である。以上のような研究活動を進める中で、保健医療学分野において本装置のさらなる小型化の要求が生じたため、現在φ3mmの装置の開発も同時進行している。
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