研究概要 |
本研究では医療および工業分野への応用が可能な三次元内視鏡の開発を行っている。とくに,三次元形状と光学特性を瞬時に定量評価できる高機能内視鏡の開発を目指している。研究開発を進める中で、開発してきた三次元内視鏡のニーズの一つとして、原子力発電所に使用される特殊孔や深孔の形状検査および傷検査の要求が生じた。特殊孔や深孔,そしてそれらに接続された配管数は数万点,それ以上存在する。これの孔や配管は小さな要素であるが原子力発電所においては極めて重要な要素といえる。これらを高速にかつ高精度に計測し,品質を管理することは必要不可欠である。これらを実現するために,本年度はソフトウエアの充実とハードウエアの改良を行った。ソフトウエアに関しては,高速性を重視し,リアルタイムのうちに解析できるようにした。また,内面の三次元形状だけでなく,その光強度分布特性を表示することで前年度までに開発してきたソフトウエアでは見落としがちだった微細な傷なども検出することができるようになった。さらに従来の三次元空間の表示だけではなく,展開図表示をすることで,傷検査を容易に観察できるようになった。一方で,ハードウエアの改良では,精度向上を目指すために装置に回転機構を導入し,より高精度な内面の三次元計測を実現することに成功した。ここでは,回転機構の角度調整から撮像した画像数によって計測精度がどこまで向上できるのかを明らかにした。以上のように,本年度は三次元内視鏡の高機能化を実現し,実際の応用にまで発展できることを明らかにした。
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