研究課題/領域番号 |
20500400
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
三俣 昌子 日本大学, 医学部, 教授 (40064589)
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研究分担者 |
江角 眞理子 日本大学, 医学部, 准教授 (30167291)
楠美 嘉晃 日本大学, 医学部, 講師 (60186393)
安孫子 宜光 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050086)
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キーワード | 粥状硬化 / 内皮細胞 / 単球接着 / ずり応力 / p21 / 増殖 / TXNIP / apoptosis |
研究概要 |
前年度の研究では、層流に比べ乱流は培養内皮の増殖と単球接着を共に増加させるが、この増加は共に内皮増殖を抑制するp21^<sdi/cip/wafl>(p21)遺伝子導入により抑制された。増殖と単球接着をリンクする候補因子として酸化促進作用を示すThioredoxin interacting protein (TXNIP)が見つかり、乱流はTXNIP発現を促進したが、この乱流によるTXNIPとVCAM-1発現誘導はp21遺伝子導入により有意に抑制された。以上の結果は血流下での内皮増殖が酸化、細胞接着因子の発現を調節する事により単球接着(粥状硬化発生)を左右する可能性を示唆する。そこで本年度はこの結果を更に立証するためにsiRNAでp21発現をdown regulationしてTXNIPの発現を検討した。GAPDH,p21に特異的なsiRNAの導入により各標的遺伝子の発現が約90%抑制された。DNA合成はp21 siRNA導入により対照siRNA (Nc#1 siRNA)に比し有意に増加した。また、siRNAによる細胞障害は認めなかった。次にp21 siRNA導入内皮に層流と乱流を負荷後、TXNIP mRNAの発現を調べた。非siRNA導入内皮では乱流は層流に比しTXNIP mRNA発現を増加させたが、p21 siRNA導入により層流・乱流間に有意差がなくなった。 p21は内皮のapoptosisも抑制する。そこでp21による内皮への単球接着抑制機序にp21-apoptosis経路が関与するかを検討した。過去にラット大動脈を観察した際、apoptosis内皮は肋間動脈分岐部(乱流部)に多く、他の部位(層流部)では少なかった。これは乱流が内皮のapoptosisを促進する事を示唆する。そこでp21を強発現した内皮を乱流に暴露して活性を測定したところ、caspase-3活性はp21により低下傾向を示した。
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