研究課題/領域番号 |
20500409
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
神原 保 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20380082)
|
研究分担者 |
北川 哲也 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80240886)
川人 伸次 徳島大学, 病院, 講師 (60284296)
黒部 裕嗣 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30380083)
|
キーワード | 脱細胞化 / 小口径グラフト / 細胞接着因子 / コーティング / 再細胞化 |
研究概要 |
我々はこの鋳型開発について引き続き行い、前年、すぐ血栓化した植物繊維から作成した鋳型を改良し、よりporosityを改善した鋳型を使用し、豚頸動脈移植実験を行った。約20-25%の確率で、約1ヶ月後も閉塞せず、開存する結果となった。これら結果では、細部の人工血管内への浸潤が認められ、一部ではすでに組織が自己組織へと置換されてきている所見も確認し得た。一方で、残る約7-8割は閉塞してしまうのが現状で、その原因として(1)豚spasmによる急性閉塞と(2)人工血管に起因する急性閉塞が考えられる。術直後に造影を行うと、移植前後で血管は収縮しており、それに起因するslow flowが確認され、しばらくすると血栓化してくる様子が確認できた。塩酸パパベリンの局所投与などを試みたが、やはり豚の種に起因する問題であり、今後、試験動物として豚が適切かどうか再度検討を要すると考えられた。また後者の人工血管に起因する急性閉塞に関しては、本グラフトをもとに細胞接着因子やヘパリンなどの付着を試みたものの、やはりグラフトへの安定的な定着性が問題となり、結果改善にはつながらなかった。 人工血管の機能評価のためには、実験系・評価方法の確立もまた重要であるが、我々は、食用豚50kg前後のものを全身麻酔し、頸動脈・大腿動脈を剥離し、全身ヘパリン投与後に、前述の直径3mmの人工血管にて置換する一連の系を確立したが、前述のように動脈攣縮が問題であり、今後、この予防を如何に行った上で実験を行うかが重要であると思われた。 今後、本研究中に得られた知見を活用して、微小人工血管の急性期血栓によるグラフト閉塞の防止を主眼に置いて、実用化に向けてさらに改良を加えて行きたい。
|