研究概要 |
安価で,安全を目指す人工調製サーファクタント(PS)の試みは下記の組成で行った。長鎖アルコール、卵黄レシチン(egg PC)、大豆PCと主成分のより長鎖脂肪酸或はタンパク-脂質混合系或はそれらの組み合わせである。両親媒性表面表在型、膜貫通型、また両方の性質を持つ3種のタンパクが設計し合成した。PSの性能はin vitroではWilhelmy表面張力計による表面張力/面積曲線のヒステリシス曲線測定で、in vivoではPS欠損ラットモデルに対する肺コンプライアンスの回復率で評価した.タンパクを含まないオクタノール或は大豆レシチンからなるタンパク/脂質混合系は、臨床で用いられているSurfacten[○!×]と比較して望ましいヒステリシス曲線測定を示したが,卓越したものでは無かった.設計したタンパクを添加したアルキルアルコール或は大豆レシチンの脂質混合組成のタンパク/脂質混合系はSurfacten[○!×]のヒステリシス曲線と同様な理想的な挙動をとり、両親媒性Hel 13-5タンパク/脂質混合系は脂質混合系に比べてより効果があった。特に水添大豆レシチン/分画大豆レシチンPC-70/パルミチン酸/Hel 13-5タンパク(40: 40: 17.5: 2.5, w/w)はSurfacten[○!×]に匹敵するものであった。この研究における人工肺サーファクタントの組成は低価格で調製されており、豚インフルエンザ(H1N1), SRAS,炎症性肺疾病、喘息等に引き起こされる呼吸困難ばかりで無く呼吸窮迫症候群や突発性呼吸窮迫症候群の治療に非常に有効と期待される。他に多角入射分解分光法による測定結果の一部により完全合成型タンパクの気/液界面における構造が明らかになりつつある.
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