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胸痛消失後の心筋虚血診断はしばしば困難である。このような状況でも「虚血の既往」を簡便に診断できれば、臨床で有用と考えられる。われわれは、本研究において、非侵襲的な超音波診断法を用いた「虚血の既往」の診断システムを確立したいと考えている。本年度は、この目的のため、虚血改善後に残存する微細な壁運動異常同定のため、前年度の冠閉塞モデルの検討の継続に加え、冠狭窄実験モデルを作製し、薬物負荷による虚血を誘発させた場合において、虚血改善後に残存する微細な壁運動異常の検討を行った。 人工呼吸器管理下の麻酔開胸犬(5頭)において、動脈圧測定用のカテーテルを挿入後、左肋間から開胸し、左回旋枝近位部に冠動脈閉塞器と超音波血流プローブを装着した。左回旋枝の血流が安静時から変化しない範囲で冠予備能が低下する狭窄を作製し、ドブタミン負荷による心筋虚血を生じさせた。その前後で左室短軸の超音波画像を経時的に取得した。得られた画像から虚血領域と非虚血領域の一心周期の心筋ストレイン値を定量的に評価した。収縮期の指標として、収縮期最大ストレイン値、弛緩期の指標として、等容拡張期の最大ストレイン値を検討した。虚血・非虚血領域はリアルタイム心筋コントラストエコー法を用いて評価した。 ドブタミン負荷による虚血時には、収縮期最大ストレイン値の虚血領域と非虚血領域の比は、ほとんど変化がなく、虚血改善後にすみやかに回復した。一方、等容拡張期の最大ストレイン値の虚血領域と非虚血領域の比は有意に上昇し、再灌流後約20分程度持続する傾向があり、「虚血の既往」の診断に有用と思われた。
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