研究課題/領域番号 |
20500422
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
大森 浩二 香川大学, 医学部, 准教授 (00263913)
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研究分担者 |
河野 雅和 香川大学, 医学部, 教授 (20153489)
野間 貴久 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (20363202)
村尾 孝児 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (20291982)
四宮 かおり 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (70380160)
石原 靖大 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (80532689)
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キーワード | 脂肪前駆細胞 / 細胞周期 / アンチエイジング / 肥満 / インスリン抵抗性 / サイクリン依存性キナーゼ |
研究概要 |
本年度は、肥満の進行に対するピタバスタチンの効果に関する知見の論文化と平行して、肥大脂肪細胞モデルを用いて、脂肪細胞の増殖と分化の過程におけるp16^<INK4a>、PPAR-γを中心とする細胞周期関連分子の変動、及びこれに対するピオグリタゾンによるPPAR-γ刺激の効果を明らかにした。すなわち、ピタバスタチンは臨床用量相当濃度で、3T3-L1細胞の分化・成熟を障害することなく、脂肪細胞の肥大・悪質化を抑制することを明らかにし、Atherosclerosis誌に発表した。一方、細胞周期制御因子cyclin-dependent kinase inhibitorのひとつであるp16^<INK4a>が、脂肪前駆細胞の増殖を負に制御しており、PPAR-γの刺激はこれの遺伝子発現を抑制することによりその増殖を促進することを明らかにした。これは、ヨーロッパ心臓病学会において発表した。また、PPAR-γ刺激によるp16^<INK4a>の遺伝子発現抑制は、もう一つのInk4a/Arf遺伝子産物であるp19^<Arf>や、腫瘍抑制因子p53の抑制を伴っており、これが脂肪細胞の加齢性機能障害を抑制することも明らかになった。すなわちPPAR-γ及びピオグリタゾンによるその刺激は、脂肪前駆細胞の増殖を促進する一方、成熟脂肪細胞のエイジングによる機能低下を抑制することにより、脂肪組織の機能を維持し、ひいては肥満関連の代謝異常に対してインスリン感受性の保持に寄与することが強く示唆された。この一部は、タイ国チェンマイ大学でのシンポジウムで発表し、論文化を完了して、現在投稿準備中である。このように、本研究では、最終目標である超音波照射の影響を明らかにするための実験の対照データの収集段階で、次々と新しい知見が得られた。これらは脂肪蓄積による代謝異常の病態とその治療の進歩に貢献するものと思われた。
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