研究概要 |
今年度、本研究において実施した実験内容、及び得られた主な結果は下記の通りである。 1.チタンで被覆した焼灼用磁性体針の設計と試作 一定の厚みがあるチタン管で磁性体(SS400)を被覆することで、高い発熱特性(〓T)を保持したまま『形状磁気異方性』の効果を低減できることが明らかとなった。本研究の範囲内では、『R=0.56』(R:チタン管の外径と内径の比)の場合が最も優れた昇温特性を示した。チタン管の厚さを変化させることは、磁場エネルギーの『浸透深さ』に大きな影響を与える。本研究によって、磁束方向に対して無方向性の発熱特性を有する焼灼用磁性体針の製作が可能となった。 2.臨床用装置の試作・改良と高周波誘導加温実験 曲面型コイルを体表に押し当てる方式と体内挿入型の双方について、装置の試作・改良を行った。これらを用いた加温実験により、深部臓器癌である腎癌のより低侵襲な治療が実現する可能性があることが分かった。ウサギを用いた動物実験において、高周波誘導焼灼法による肝臓の選択的な凝固壊死が観察された。 3.磁性体針の発熱特性とシミュレーション 深部臓器癌に高周波誘導焼灼法を適用する場合,精密な温度制御技術の確立が不可欠である。焼灼用磁性体針の発熱特性とその機構に関する基礎データを得るため,各種の純金属,及び合金丸棒を用いた交流磁場中での発熱実験とシミュレーションによる解析を行った。
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