研究概要 |
本研究の目的は、高精度電気インピーダンス測定技術とElectrical Impedance Tomography(EIT)を用いて、肺機能の経時モニタと栓子検出技術を開発することにより、ICU内における肺機能・循環機能モニタを実現することである。本年度の研究成果は以下の通りである。 1. 小児の三次元胸部FEMモデル構築:男性小児(3歳)の胸部X線CT画像195枚(スライス幅0.625mm)を基にして各臓器の領域分けを行い、それらを組み合わせて三次元胸部有限要素(FEM)モデルを構築した。モデル表面上に、市販電極を水平かつ均等に8個配置し、第3から第5肋間まで3つの電極スライス面分を設定したモデル3種を用意した。構築した胸部FEMモデルの要素数は、1,889,772であり、節点数は381,916であった。これにより、成人だけでなく小児においても、肺野全域においてEIT画像、局所肺密度・肺気量の算出が可能となった。さらに小児ICU内肺疾患患者4名のEITデータとCT・胸部X線との比較結果から、上下肺野にわたる肺疾患部位の特定が可能であることがわかった。 2. 肺血流分布画像構築プログラムの開発:これまでに構築した三次元胸部FEMモデルと、ECG信号と測定インピーダンス信号を同期加算した信号を用いて肺血流分布を動画で構築するプログラムを開発した。これにより、EIT測定によってベッドサイドで肺の換気機能と循環機能をリアルタイムで測定することが可能となった。この技術は、他の臓器への応用が可能であるので、今後は様々な分野で利用されることが期待される。
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