研究課題
最終年度である本年度は、集束型超音波照射と試料の温熱観測・各種光学観測プローブを備えたマルチプローブ型顕微超音波システムの改良を実施し、さらにこれを用いて実際に細胞や組織を用いたドラッグデリバリーシステムへの応用を試みた。温熱上昇の観測には、カロリメトリー測定用プローブを応用し、データロガー、PCの測定システムを作成した。顕微観測には、カールツァイス倒立型アキシオバート35M顕微鏡筐体を利用し、蛍光観測システムと高感度観測用の電子冷却CCDを取りつけ、ステージ上にはオープンシステムとして集束型超音波照射プローブと温熱観測プローブを組み込んだ。以上の改良したシステムを用いて、細胞内・組織内の超音波の効果について照射と同時にリアルタイムでの観察に成功し、実際に研究への応用を実施した。ドラッグデリバリーへの応用としては、超音波に反応して活性化するケージド化合物の発見と、その詳細な反応メカニズムの研究を行った。各種金属や機能性薬物を包含したケージド化合物に超音波を照射することで、それらの分子を放出させる機構については現在研究が進行中である。さらに、これらのケージド化合物を実際に細胞内に取り込ませ、細胞への損傷の少ない超音波強度において、薬物活性化を確認した。これらの薬物の発見は、今後の新しいドラッグデリバリーへの可能性を示している。さらにこのシステムを用いることにより、活性酸素の発生や、細胞への照射強度が明確化することから、特に本研究によって1~10MHz領域の超音波の安全性の見積もりが可能となった。
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