| 研究概要 |
顎矯正手術について様々な手術シミュレーションの報告されているが,実体模型の製作コスト,手術シミュレーションを行う際の操作性の問題,下顎運動を再現できない,歯冠補綴装置によるアーチファクトや表面構造の再現性の低さなどの問題があった.そこで,これらの問題を臨床的に許容できるレベルまで解決しうるシステムの確立を目指して試行錯誤を行ってきた.
一連の顎矯正手術の診査項目に加え,CT画像データから3次元再構築画像,光学式位置センサを用いて計測した顎運動データによる4次元解析, Computer moniter上でのバーチャル手術シミュレーションを行い,さらに3次元造形装置による石膏モデルを用いることにより,実体を伴う顎変形手術シミュレーションを行った.
一般的に患者は口腔内に金属修復物が存在し,CT画像上で障害陰影が多くなることにより3次元再構築画像の精度が低下してしまう.そこで,問題となる歯列については光学式3次元スキャナを用いて計測した歯列表面の三次元形状データと統合することにより修復し,患者の頭蓋骨形状を正確に反映した3次元再構築画像を製作した.また,コンピューターシステムによるシミュレーションと3次元造形装置(Z310)にて造形した石膏モデルによるシミュレーションによって実際行う術式を再現した.現在,顎変形手術が適応となった症例について,本システムを応用し,良好な結果を得ている.特に,骨片の移動の定量的評価と実体モデルの質感を伴った視覚的評価は,術式の選択に大きく寄与することが明らかとなった.
今後,3次元再構築画像の精度向上および3次元造形装置の精度向上を目指す.
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