研究概要 |
2008年からの研究で、我々は、in vitro、in vivo、双方で低エネルギー超音波照射によりメラノーマ細胞(C32)の増殖を抑制することを確認した。この効果は子宮頸癌細胞(HeLa)にもある程度認められた。しかし、良性のメラノサイトや使用した他の癌細胞(U937,MCF-7, MDA)では増殖抑制効果は見られなかった。ジーンチップを用いた予備実験で65,000の遺伝子を解析し、900以上の遺伝子変異を確認した。一方、in vitroの実験系での細胞増殖抑制率のばらつきが認められ、超音波強度の設定条件を決めることが困難であった。低エネルギー超音波に対する生体反応に一定の閾値があるものと予想された。超音波強度0.5W/cm 2以下で、全く細胞増殖抑制効果が認められない細胞種が認められ、今後は再実験を行うことで上記の現象をさらに確認していく必要がある。 本年度は低エネルギー超音波照射による遺伝子変異に焦点をしぼり研究を行い、細胞増殖抑制のメカニズムを解明したい。 癌細胞をアポトーシスに導く超音波照射の最適条件の研究は、細胞を低張状態で膨張させて超音波を照射し、その相乗効果を検討する。超音波と低張状態の併用は、細胞膜をより危弱にすることで相乗効果が期待できる。
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