研究課題
本研究計画中当該年度では、低侵襲ながん治療を指向した低出力超音波力学療法(SDT)に関して、前年度の検討によりin vitro実験にて有意な細胞傷害活性を示すことが判明した超音波感受性物質としての新規ポルフィリン誘導体(DEG)を用いて(1)単独で用いた場合におけるin vivoでの抗腫瘍効果と組織化学的検討および(2)抗癌剤との併用時におけるin vivoとin vitroでの抗腫瘍効果、をそれぞれ評価することが目的であった。(1)担癌モデル動物として、SCIDマウスにヒト胃癌細部株MKN-74を側背部に播種し、腫瘍径が5mmになった所でSDTを行い、DEGの効果を検討した。現時点では、DEG静脈内投与後の経時的な体内動態/分布の測定方法を確立していないため、SDTに最適な時間を薬物投与後6時間まで経時的に検討した。その結果、DEG投与後10minでSDTを行った場合に最も高い腫瘍増殖抑制効果が認められた。また、SDTは単回治療では効果に乏しかったため、隔日で週三回二週間にわたって計6回行った。その結果、有意な腫瘍増殖抑制効果を認め、in vivoにおける有用性を確認した(論文投稿中)。(2)抗癌剤とDEGによるSDTの併用効果は、MKN-74細胞を用いてin vitroで検討した。その結果、DEG単独での場合に比べ、抗癌剤5-FUあるいはCDDPで予め処置することでSDTによる細胞傷害活性は有意に増強した。このとき、蛍光ラベルしたデキストランを用いて、SDTによる細胞内へのデキストランの流入がDEG単独での場合に比べ、抗癌剤5-FUあるいはCDDPを処置することで増加することを確認した。現在、in vivo実験における抗癌剤の併用効果の確認をすすめている。
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http://www.med.fukuoka-u.ac.jp/biochem1/index-j.htm