研究概要 |
本研究の目的は、近年高頻度に使用される睡眠導入剤の服薬後の運動機能や認知機能、気分からみた残余効果を調べ、高齢者に安全な睡眠導入剤を検討することであり、平成20~21年度は高齢健常者14名を対象に、ゾルピデム(マイスリー、アステラス社)5mg、塩酸リルマザホン(リスミー、塩野義社)1mg、トリアゾラム(ハルシオン、ファイザー)0.125mg、メラトニン(melatonin,N-acetyl-5-methoxytryptamine、米国ナトロール社)1mgの一回服用における翌日の運動機能と認知機能について、プラセボとの比較試験を行った。 その結果、客観的指標に関してはゾルピデム5mgが良好な結果を示し,主観的評価についてはトリアゾラム0.125mgが良好な結果を示していた。これにより、睡眠導入剤の就寝前一回服用における高齢健常者の運動機能と認知機能の変化について、プラセボとの二重盲ランダム比較試験によって(1)半減期においては、超短時間型で、(2)ω1選択性の有る、(3)ノンベンゾジアゼピン系の睡眠薬が高齢者に好適な薬剤である可能性が高いことが示唆された。 平成22年度は、この結果をまとめ、日本睡眠学会、アメリカ睡眠学会で発表を行い、関係者から意見を聞き、また論文としてまとめた。
|