研究概要 |
ラット神経障害モデルを作成した。同モデルに疼痛過敏行動を観察した。同様に椎間板ヘルニアモデルもしくはMyersらの神経圧挫モデルを用い疼痛行動を評価した。このモデルに於も疼痛過敏行動が同定可能であった。さらに椎間板性疼痛モデルは椎間板を21G針穿刺にて椎間板変性モデルを作成した。このモデルでの疼痛行動は行動学的に検討する事は困難なため、DRGにおける神経ペプチドの増加にて、観察を行った。DRGでは疼痛に関連する遺伝子CGRPが増加し、このモデルでも疼痛を惹起していると考えられた。本全てのモデルにおいて、DRGでのMitogen-activated protein kinaseのうちextracellular signal-regulated kinase,p38,c-Jun N-terminal kinaseのそれぞれの活性化を調べた。すべてのモデルでこれらの細胞内シグナルが増加している事が判明した。また各種Mitogen-activated protein kinaseの阻害剤を使用する事によってこれらの疼痛行動が抑制可能であった。培養細胞を用いた腰痛の系では、椎間板細胞と神経の共培養にて、神経の伸展、疼痛因子の増強が認められた。その細胞内で同じようにMitogen-activated protein kinaseであるextracellular signal-regulated kinase,p38,c-Jun N-terminal kinaseが発現し、これらが、nerve growthに関連していると考えられた。以上の事から、Mitogen-activated protein kinaseのうちextracellular signal-regulated kinase,p38,c-Jun N-terminal kinasすべては腰痛に関与しており、今後腰痛治療のターゲットとなる可能性が示唆された。
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