骨格筋の肥大および萎縮現象のメカニズム解明は、リハビリテーション分野の理学療法学領域における介入方法の確立に必要な重要課題である。近年の研究成果から、筋肥大に関しては筋衛星細胞(satellite cell ; SC)活性化の関与が示されている。筋萎縮に関しても筋核アポトーシスの可能性が示唆されている。また、筋細胞の分化制御因子としてMyoDファミリーの作用が解明されつつある。以上の背景から、筋衛星細胞の活性化とMyoDファミリーの発現を指標とした運動負荷量の設定が臨床的に効率的と考えた。しかし、「筋衛星細胞の活性化に閾値が存在するか?」さらに「正常筋と萎縮筋で閾値が異なるか?」という問題が残存する。理学療法の臨床でも、正常筋と萎縮筋では運動負荷量の設定条件は異なると考えられているが明確な根拠はない。そこで本研究では、まず正常筋で筋衛星細胞の活性化閾値を検索し、さらに萎縮筋と正常筋の違いの有無を検証することを主目的とした。
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