研究概要 |
関節拘縮時の神経周囲組織の変化について、以下の実験を行った。 【実験1】ヒトはもちろんのこと、ラットの坐骨神経周囲組織、とりわけ神経周囲スペースについて知見は存在しないため、正常及び拘縮時の坐骨神経周囲組織の変化を確認するため、ラット膝関節拘縮モデルを用いて実験1を行った。【対象・方法】9週齢のWistar系雄ラット26匹をコントロール群4匹と左後肢の膝関節を最大屈曲位にてギプス固定した固定群22匹とに分け,それぞれ2週間飼育し、大腿骨の中間部の断面標本を作製、H.E.染色標本を光学顕微鏡下にて観察した。【結果】固定群では坐位骨神経の神経束と神経周膜の最内層の密着および神経周膜の肥厚が認められ,コントロール群ではこれらは観察されなかった。【考察】これらの変化は坐骨神経周囲の柔軟性、神経束の滑走性に影響を与えている可能性が示唆された。実験1は既に論文が受理(理学療法科学)されている。 【実験2】次に、固定期間の延長による変化、固定期間終了後の自然治癒の可能性についての検討、固定期間終了後の伸張運動の効果について、やはりラット膝関節拘縮モデルを用いて実験2を行った。【対象・方法】9週齢のWistar系雄ラット16匹を用い、2週固定群、4週固定群、固定後2週間放置飼育群、固定後2週間伸張運動群に分けた。【結果】2週固定群、4週固定群ともに実験1と同様の結果であり、固定期間の延長による影響は軽微に留まった。放置飼育による自然治癒傾向および伸張運動の効果はともに認められなかった。実験2の成果は学会(第44日本理学療法学術大会エントリー済み)および論文化の予定である。
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