研究課題
平成21年度は健常者の正常な摂食・嚥下動態の評価を行うとともに、自立高齢者における摂食・嚥下機能を評価する目的で下記の研究を遂行した。1. 食塊の性状の違いによる嚥下運動時における舌圧の変化健常成人男性4名(平均年齢:24.8歳)を対象に水、とろみ水3mlおよびゼリー1.6ml嚥下時の舌背正中部での舌圧を測定、分析した。(1) 舌圧最大値はとろみ水、ゼリーで舌根部は舌前方、中央部より高値であった。水では舌の前方、中央、後方部で大きな差は認められなかった。(2) 舌圧最大値までの到達時間はとろみ水、ゼリーで舌の前方部、中央部、後方部の順に短くなる傾向があった。また、水では他の食材に比べ短時間で最大値に達していた。2. 自立高齢者における摂食・嚥下機能に関する実態調査健常自立高齢者(平均年齢:73.3歳)146名を対象に摂食・嚥下機能に関するアンケート調査を行い、摂食・嚥下機能低下に関わる因子について検討を行った。(1) 摂食・嚥下機能に関して健常自立高齢者でも約2割が「飲み込みにくさ」を自覚しており、約3割で食事中および飲水時のむせを自覚していた。(2) 飲み込み難さの自覚」についての相関分析と重回帰分析から「咽頭残留感」、「食事のこぼれ」、「義歯咀嚼困難」、「軟食を好む」、「うがい時ムセ」などの項目で関連が示された。(3) 義歯に関しては54.9%が義歯を使用し、そのうち約4割が義歯使用時のかみ難さを感じていた。
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