研究概要 |
1. 抑うつ傾向を示す設入所者に対する振動音響法の効果の検討. 抑うつ傾向のみられる入所施設者(MCI9名・認知症9名)に対する2週間の振動音響療法の効果として認知機能面や問題行動面では効果は認められなかったが,抑うつに関しては有意な改善が見られた.また睡眠時間は総睡眠時間の変化は見られたものの,睡眠効率の改善には結びつかなかった.抑うつの改善は,振動音響装置の振動により筋細胞内のミトコンドリアの活性が誘発されて生じた結果と考えられる. 2. 老人病院長期入院患者に対するフット・スパの効果の検討. 現在リハビリを受けている入院患者13名(MMSE24~12点)に2週間スチームのみによるフット・スパを行ったところ,認知機能面が有意に改善した.このうち12名は高血圧傾向であったが,最高血圧・最低血圧共に有意に低下した.また,1名は低血圧であったが最高血圧・最低血圧とも上昇した.また13名とも内耳温が有意に上昇した.SpO2・脈拍に関してはともに全員ほとんど変化は見られなかった. 13名中12名のMMSE得点が上昇(平均約4.5点上昇.1名は変化なし)したが,これは脳内温度の上昇により注意障害が改善し,それに伴い二次的に記銘力・見当識が改善したことにより生じたものと考えられる.但し,抑うつ・問題行動・睡眠効率については改善は見られなかった. これ等よりフット・スパは,心肺機能に負担をかけることなく,逆に血圧の改善につながり,脳内温度を上昇させることにより注意機能が減退しやすい長期入院患者の注意機能を活性化させ,二次的効果として記銘力・見当識機能を活性化させ認知機能を改善する効果があることが示唆された.
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