研究課題/領域番号 |
20500461
|
研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
若葉 陽子 東京福祉大学, 心理学部, 教授 (20014730)
|
研究分担者 |
宮尾 益知 東京福祉大学, 国立成育医療センターこころの診療部・発達心理科, 医長 (70120061)
|
キーワード | ADHD / 小児吃音 / 類型的診断 / 非流暢性発話 / 神経学的所見 / 言語発達 / 言語性知能 / 治療法の開発 |
研究概要 |
本研究では、神経学的所見に注目して、ADHDで吃音を持つ子どもを対象に、神経学的所見および言語病理学的所見を詳細に得て、統合することにより、神経学的な異常と吃音の様態の関連性を明らかにして、小児における吃音を鑑別分類の基礎資料を得ること、同時に従来の吃音治療法とは異なる神経学的所見に基づく新しい治療法の開発を目指すことが目的である。 本年度は、N病院でADHDと診断を受けた4歳から8歳の54名の対象児に関して、(1)対象児の特徴、(2)対象児の初診時主訴、(3)対象児の診断時年齢、(4)初診時年齢からADHDの診断時年齢までの経過月、(5)言語発達の経過(初語出限の年齢、1〜3歳までの言語発達経過)、(6)吃音の発現の有無、(7)心理的検査の言語性知能等について検討をした。 54名のうち、他の障害との複合のない「ADHD」との診断は32名(59%)で、初診時の主訴は、注意の集中、多動などであり、ことばの遅れの指摘は2名のみであった。ADHDと診断された年齢範囲は4歳3ヶ月〜8歳8ヶ月(平均年齢6歳9ヶ月)であった。また、初診時にADHDと診断可のものは78%であった。言語発達の経過については、情報が得られた17名の初語の出現年齢範囲は10ヶ月〜3歳であり、1から3歳期の言語発達について順調としたものは15名(47%)、WISC-IIIの結果(22名に実施)、言語性知能指数(VIQ)80以上が20名(91%)で、平均は101であった。後者とともに吃音症状がみられなかった。残り22名(41%)は、他の障害と複合的な診断が下され、「PDDおよびADHD」と判断されたものは16名(73%)であった。診断がなされた年齢は2歳0ヶ月〜8歳2ヶ月(平均年齢6歳7ヶ月)で、前者に比べ言語発達について不調との報告が多く、VIQは平均96で前者より低い傾向がみられた。次年度は両者の神経学的症状、言語行動の精査が必要である。
|