研究課題
経頭蓋直流電気刺激(Transcranial direct current stimulation ; tDCS)による非侵襲的脳刺激とリハビリテーションの組み合わせによる新たな脳卒中片麻痺上肢に対するリハビリテーション(以下リハ)アプローチの開発を目的とし、本年度は昨年度に引き続き脳卒中後重度片麻痺患者におけるtDCSと上肢訓練との併用効果の検討を行い、症例数を増やした。tDCS前後における運動野における神経活動は、手指運動イメージ時のを事象関連脱同期化(ERD)として記録した。また、重度片麻痺患者における上肢リハへの応用としてBrain-Machine Interfaceを用いた上肢訓練とtDCSの併用プログラム(10日間)を施行し、その上肢機能ならびに脳活動の変化を検討した。脳卒中片麻痺患者においては、tDCSとリハを組み合わせることにより、損傷半球でのERDの増強効果が認められ、通常リハに比較してtDCS併用による相乗効果の可能性が示唆された。また重度片麻痺患者においてもtDCSとBMIを組み合わせることにより、麻痺側上肢機能の臨床的評価の改善が認められただけでなく、筋電図学的な筋活動の増加および経頭蓋磁気刺激による皮質運動野の興奮性の増加を認め、運動野皮質の可塑的な変化が確認された。通常のリハでは上肢機能の改善が困難な慢性期重度片麻痺患者でも、本法により機能改善の可能性が見込まれ、新たな脳卒中リハの手法としての有用性が見込まれた。
すべて 2010 2009
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リハビリテーション医学 47
ページ: 159-161
Neurorehabilitation Neural Repair 23
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