研究概要 |
電気刺激を用いた筋力の回復はリハビリテーション領域において重要であり、様々な方法で行われている。我々は、拮抗筋への電気刺激を与え、その筋収縮を主動作筋の抵抗として、自らの生体内に負荷を作り出して行う従来とは異なる方法を考案した。研究の目的は、電気刺激を用いて筋力回復等の運動効果を明らかにし、医療及び福祉分野での使用を目指すものである。 本年度は、高齢者20名(平均年齢67.8歳)を、大腿前後面に電気刺激を用いた電気刺激群と膝屈曲伸展筋カマシン使用の対照群の2群に無作為化にて割り付けた。週2回12週間実施し筋力増強効果を検証した。電気刺激条件は、電気刺激時間各筋3秒,休止時間60秒,1セット10回,10セット,計19分,20〜30%MVCの負荷で行った。マシン使用群は市販の膝屈伸筋カマシンを用いて,40〜60%MVCの負荷で1セット8回10セット計19分で行なった.評価項目は、筋力測定、MRIを用いた大腿筋断面積、骨塩量、血液、重心動揺、椅子立ち上がりテスト、QOL評価等である。筋力測定結果では、膝伸展筋力は電気刺激群で運動介入前78.1±22.54Nmから介入後113,48±27.1Nmと45%増加(P<0.001),マシン使用群で95.3±41.62Nmから137±53.28Nmと44%増加(P<0.01)であった.膝屈曲筋力は電気刺激群で運動介入前37.34.1±11.62Nmから介入後43,61±15.03Nmと17%増加(P<0.05),マシン使用群で44.31.±19.21Nmから48.27±19.96Nmと9%増加(P=0.167で有意差なし)であった.両群間に有意差は認められなかった。他の評価項目では、有意な改善は認められなかった。
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