電気刺激を用いた筋力の回復はリハビリテーション領域において重要である。我々は、拮抗筋への電気刺激を与え、その筋収縮を主動作筋の抵抗として、自らの生体内に負荷を作り出して行うハイブリッド法を考案した。研究の目的は、電気刺激で生じる生体変化を明らかにする基礎的研究から臨床におけるハイブリッド法の有効性を明らかにし、医療や福祉分野での使用を目指すものである。 ・電気刺激中の筋活動を筋音計を用いて測定した。低電圧下では筋音図振幅が増加し、高電圧下では減少した。筋音図により電気刺激活動の筋活動の評価が可能であることが明らかになった。 ・ハイブリッド法訓練後と随意筋力訓練後の成長ホルモンを測定した。ハイブリッド法が成長ホルモン量は上回り、有効性が明らかになった。 ・健常高齢者を、ハイブリッド法とマシントレーニング法の2群に分け3ヶ月運動を行った。2群共に筋力や筋量に同等の有意な改善結果を得たことで、ハイブリッド法が高齢者の筋力トレーニングとして新たな運動療法となり得る可能性が示唆された。 ・非アルコール性脂肪肝障害者を、ハイブリッド法群と生活指導群の2群に分け3ヶ月間行った。2群は同等の結果であったが、ハイブリッド群でHOMA-IRとIL-6が有意に減少し、ハイブリッド法がNAFLDの新たな運動療法となり得る可能性が示唆された。 ・健常高齢者のエルゴメータ運動中に、大殿筋とハムストリングスに電気刺激し、2ヶ月間運動を行った。筋力や立ち上がり能力等に有意な改善結果を得た事で、従来の運動法に電気刺激を追加することで、より効率的な運動方法になり得る可能性が示唆された。
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