我々はpneumatic control injury deviceを用いてラット脳に外傷を与えたラット脳外傷モデルを用いて、その障害部位である大脳皮質における神経幹細胞の出現と神経再生を報告した。本研究では脳外傷部局所における神経再生と運動及び記憶学習との関係を組織学的、生化学的、生理学的および運動学的手法を用いて解明することを目的とした。 1. 実験方法 Pneumatic control injury deviceを用いてWistarラット(10週齢♂)に脳外傷を与え、脳外傷ラットを作製し、受傷ラット用いて14日間連続で1日1回、トレッドミル負荷を行った。トレッドミル負荷無しで受傷のみを行ったラットをコントロール群とした。外傷直後より14日間連続で脳内の分裂細胞をラベルするために5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)を1日、2回投与した。その後ラットを経時的に屠殺し神経幹細胞の分離を行いその分化を調べた。 2. 結果と考察 トレッドミル群のラット損傷部周囲に出現する神経幹細胞の有意な増加が認められた。これらのことからから運動が神経幹細胞を増加させることが示唆された。人において脳外傷の受傷後のリハビリテーションは神経再生を促進させると考えられる。
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