研究課題
我々は、これまでの研究でマウス線維芽細胞と担体を用い、三次元様増殖の形成を指標として温熱療法の最適条件を検討してきた。三次元様増殖とは通常、フラスコ内において正常線維芽細胞は単層で増殖するが、温熱処理後、担体の全周を囲んだ細胞が重層し、立体的に増殖したものを指す。今回、マウス線維芽細胞を正常ヒト細胞に代え、医療現場で経験的に行われている温熱療法をEBM (Evidence Based Medicine)の観点から検討した。20年度研究成果:正常ヒト細胞と平面絹の混合培養による温熱処理後の三次元様増殖形成率材料と方法:本実験に用いた細胞は、新生児の純粋な皮膚線維芽細胞として分離された初代培養細胞である。細胞の担体としては、結合組織を再構築するために農業生物資源研究所の竹澤らによって開発された平面絹を用いた。平面絹は、まゆ繊維を厚さ約216μmで薄く均一に広げたシート状のもので、これを0.5mm四角に切った後、100%エタノールで滅菌処理し、乾燥させ、実験に用いた。温熱処理前は、フラスコ内に、一定量の増殖期の正常ヒト線維芽細胞を播き、平面絹を100枚加えて混合培養した。温熱刺激は、温水槽を用い、適用温度を37(コントロール)・40・43・45℃、処理時間は10分間とした。温熱処理後は、正常ヒト細胞をCO_2インキュベーター内で静置培養した。細胞は、温熱処理1週後から経時的に倒立型位相差顕微鏡を用いて観察した。結果:三次元様増殖の形成過程には、温熱処理1週間後から観察される平面絹の周囲の一部に重層がみられるものを『I:きざし』、2週間後から観察される半周以上、3/4未満を『II:できかけ』、ほぼ全周(3/4以上・一部欠損がある)を『III:ほぼ形成』、完全に囲んで重層したものを『IV:形成』とする4段階が見出された。
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