研究概要 |
1. 本研究の目的は,腰部負担の大きなベッド上からの起き上がり動作の介助を取り上げ,実験的には,異なる介助方法を行い,腰部負担の少ない効率的な介助方法を明示することである 2. 対象者は18名,平均身長162.4±1.4cm,平均体重54.3±1.3kgの学生.課題は背臥位となった模擬患者を座位まで起こす介助動作を3通りの介助方法と,膝を曲げた低重心位置と膝を伸ばした高重心位置の2種類で行わせた 3. 計測は超音波式3次元動作解析装置を用いて,腰部圧迫力の算出と身体各部位の角度による姿勢指数を用いて比較した.腰部圧迫力が大きかった介助方法は,膝引き寄せ法が7,900N、体幹引き起こし法が6,900N,骨盤押し込み法が3,800Nであった.介助中の腰椎屈曲角度が大きかったのは,膝引き寄せ,体幹引き起こし,骨盤押し込みの順であった.また介助中の重心位置の高さによる腰部圧迫力は,低重心で骨盤を押し込む方法が有意に低かった(P<0.05).低重心位での姿勢指数は0.07未満,高重心位では0.42であり,重心位置の高さと腰部圧迫力で有意な差を示した.従って臨床場面で姿勢指数の活用は,介助者の介助負担度を簡便に評価できる有用性を示すことができた.今後臨床において姿勢指数を活用し,効率的な介助姿勢の検討と職員への導入により,腰痛予防を未然に防ぐ一助にしていきたい
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