研究分担者 |
吉益 光一 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40382337)
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (70264877)
福元 仁 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30511555)
竹村 重輝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70511559)
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研究概要 |
高濃度人工炭酸温水浴による下肢疼痛改善効果を検証するため、今年度は昨年度に引き続き介護施設入所者に介入期間を延ばして検討した。 対象は、説明を行い同意の得られた9名(男性4名,91.3±2.6歳,女性5名,85.4±3.4歳)(mean±sd)で、下肢に疼痛を有する者が男性2名、女性名1名の計3名であった。実験は、同一人に炭酸温水浴(刺激群)と温水浴(対照群)を設定したクロスオーバーデザインで、期間は2010年11月~2011年3月、ウォッシュアウト期間1カ月空けた前期1.5カ月(31回)小後期1.5カ月間(31回)とした。浸漬は両下腿膝関節部までとし、土日を除き毎日行った。観察時間は浸漬前15分間・浸漬20分間・回復5分間とした。実験は刺激(水温:38.0±0.9℃,室温:25.3±2.0℃,炭酸濃度:1347.0±197.9ppm)、対照(水温:38.1±0.8℃,室温:25.1±1.6℃,炭酸濃度:6.1±10.5ppm)であった。これまでのところ有害事象は発生していない。 測定項目は、基礎調査(各期初日)、体調および主観的症状聴取および皮膚温測定(毎日)、質問紙(痛みを客観的に評価するMPQ簡便方式The short-form McGill Pain Questionnaire[SF-MPQ]、生活の質を評価するMOS Short-Form 36-Item Health Survey[SF-8])およびレーザー血流画像化装置(LDPI,各期初日と毎週)による足背皮膚血流測定を実施した。 足背皮膚血流の刺激前後の変化量を刺激群と非刺激群と比較した。初日左(0.34±0.17:0.28±0.26,p=0.456)・右(0.37±0.40:0.25±0.34,p=0.435)であったが、最終日左(0.66±0.38:-0.16±0.86,p=0.022)・右(0.87±0.40:-0.21±1.06,p=0.063)で刺激群高値の有意な傾向にあった。皮膚温では最終日に差が無かったが、LDPIによる血流測定で炭酸浴効果を直接表していると考える。SF-MPQは、もともと有症者が少ないためか有意な差はでなかった。SF-8では、初日に有意な差はなかったが、最終日の「全体的健康感」で刺激群52.9±6.6、非刺激群48.5±8.0(p=0.080)の刺激群で高い傾向があり、浸漬の前後でも主観的疼痛は低下していた。
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