研究概要 |
仮想環境内での運動が集中力並びに注意力に及ぼす影響を検証した。健常大学生33名(男性19名,女性14名)を対象とし,ランダムに3群(各11名)に分け検討をした。実験に使用した仮想環境運動プログラムは,仮想空間に飛来する瓦を凝視し,その瓦に切れ目が入る瞬間に切れ目の方向に上肢を振り下ろし瓦を割るという課題(VR空手)である。A群はVR空手を行わず,壁に向かって立位姿勢をとる課題(対照群),B・C群にはVR空手課題を与えた。B,C群は瓦に切れ目が入るタイミングによって分け,注意力をより必要とする条件を設けた。B群は瓦の切れ目が入るタイミングを早く,C群は遅く設定した。本研究では,課題遂行前後において集中力,注意力の検査として全身反応時間,棒落下反応検査,Continuous Performance Test,抹消・検出検査の視覚性抹消課題を行った。その結果,いずれの評価項目においても群間に有意差は認められなかった。結果より,仮想環境下での運動課題は健常者の集中力,注意力に悪影響を及ぼさないことが示され運動療法装置として使用できると判断した。 次に身体機能評価装置として整備した高精度筋量計の測定精度について検証した。本装置は生体電気インピーダンス方式の組成計であり,測定条件の影響を受けることが予想されるため,測定肢位や筋の弛緩状況によるデータへの影響を検証した。その結果,立位から仰臥位(測定肢位)になり5分以上安静にすればデータのばらつきは見られなかったが,上肢の筋緊張や関節角度はデータに影響を及ぼすことが示された。測定時のリラクセーションの必要性と片麻痺者に対し適用する際には,測定肢位に注意が必要であることが明らかになった。
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