周辺状況認知に関しての聞き取り調査の結果、視覚障害者は、視覚に頼れない分、聴覚への依存度が高く、耳にイヤホンなどをして行動することは非常に問題があることがわかった。また、画像処理のみに頼ったセンシングでは、検出が照明条件に大きく依存するため、条件によっては認知の不安定を招く恐れを否定できず、視覚障害者の実利用を考えたとき、このことが大きな障害となると判断された。 この問題を回避するために、カメラによる周辺状況認知とは別に、障害者が外出時などに利用している白丈に超音波距離センサを設置し、その検出結果も並行利用することを考案した。具体的には、距離センサで、柱や柵などの「障害物認識」や階段・ホーム端などの「段差認識」を危険距離未満にあるかないかのクリティカル認知し、危険距離未満と判断した場合には、白丈を振動させるなどにより緊急的に通知しようとするものである。 このため、カメラ画像による計測システムの準備と平行して、超音波距離センサに関する予備実験を行った。杖には地面から60cmの位置に超音波センサを取り付け、サンプリングタイミング20Hzで一般の街路での予備実験を行って得られた結果は以下のとおりである。 ・超音波距離センサの反射距離検出限界は、6.5m程度であり利用には十分な値である。 ・道路の角切り部分を直進すると、値が徐々に変化し傾斜波形で捉えることができた。 ・電柱などの突起物の側面を通ると、凹状の波形で捉えることができた。 ・停止している車に近づいたり遠ざかったりしたら、動きに合致した波形が得られた。 ・網目状になる蛇腹フェンスにおいても、反射波形は少し影響を受けたが、確認可能と推定された。
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