研究課題/領域番号 |
20500493
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
永沼 充 帝京科学大学, こども学部, 教授 (70319086)
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研究分担者 |
横山 章光 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (20245591)
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キーワード | ロボットセラピー / リハビリテーション / 高次脳機能障害 / 医療・福祉 / 特別養護老人ホーム / 理学療法士 / 作業療法士 / 人間生活環境 |
研究概要 |
本研究では新しいロボットセラピーの形を提案することをめざし、脳の高次機能障害を有する高齢者を対象に、患者自身がリハビリテーションプログラムに主体的に関わることにより、その効果を高めることを目的としている。主に市販のエンタテインメントロボットであるAIBO(ソニー製)を用いたが、今年度は開発途上のロボットも採用した。いずれも遠隔操作を基本とし、20年度は現場の医療従事者が操作できる環境、21年度は患者自身が操作できる環境を整えた。今年度はさらに改善し、身体機能が衰え車椅子を使用するようになった患者の歩行訓練にも適用できるシステムを目指した。その結果、座位で足踏みをする程度でも患者の一歩をロボットの一歩に対応させることができた。また、座面にセンサーボードを置き上体の重心移動による操作も試みた。重心移動の軌跡は0.1秒毎にcsv形式で保存されるため個々の患者の身体機能の改善状態を解析できる。複数の特養施設で試行したところ通常の歩行訓練に比べて多くの入所者で積極性の発現が見られた。一方、本研究では身体機能のリハビリのみならずアニマルセラピーと比較しつつ、メンタルな側面に重点を置いたロボットセラピーも重要な研究目標としている。そのためには、ロボットのビヘイビアや会話のバリエーションが重要になる。市販のエンタテインメントロボットではユーザーがロボットのビヘイビアを自由にプログラムすることには限界があるので、富士通研究所が開発中の対話型ソーシャルロボットを借用し、開示された開発環境上でロボットのビヘイビアを作成し高齢者の反応を解析した。定量評価の手段としては指尖および頭部(前頭前野)の血流変化を観測した。個々のビヘイビアに対するレスポンスを切り分けて観測するには至っていないが、活動中に心身状態が改善されていると評価できるケースも多く見られた。以上の結果はいずれも患者自身が参画するロボットセラピー環境構築の有効性・重要性を示している。
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