研究概要 |
研究の目標は,高齢者入居施設や家庭で日常的に,特に意識せずに,身体機能の評価・維持が行えるシステムを開発することである.2009年度の実施内容は以下のとおりである. 1.コンセプトを拡張し,ユーザの状態を意識させずに収集するアンコンシャスロボット,画面の中からユーザに情報提示するバーチャルロボット,さらにユーザに働きかけを行う実体のあるロボットの役割を検討した.家庭用小型ロボットを用いた働きかけの有効性と,これを用いたユーザの状況把握の可能性について検討した. 2.構成要素の改良と追加開発,健常者による計測テスト・ユーザ評価を行なった. 洗面所では,立つだけで心拍,呼吸,重心動揺を計測するしくみとスクワットと肩ストレッチを促すシステム,廊下では,家庭用小型ロボットを用いてヒップストライド歩行を誘導するシステムを開発し,少数例のユーザ評価を行い,継続利用の可能性を示した.また,音や光・触覚による動作の姿勢誘導方法として,壁面への映像投影を用いたシステム,ハーフミラーとタッチパネルを組み合わせた装置を開発し,本研究の要求仕様が満たされているかを確認した.居間では,握力強化・ニーアップを行うゲームを開発した.ピラティスサークルを用いた上肢筋力トレーニングシステムと,座りながらできる膝伸展運動システムを開発し,若年者におけるトレーニング効果について実験を行い,筋力増加傾向がある事を確認した.さらに,何気ない注意喚起手法として,パラメトリックスピーカを用いた「こちら」などの指示代名詞を使った方向ナビゲーション環境の開発を行った.同様の目的として,短時間・任意の空間に映像を投影可能な環境として,フォグスクリーンを用いたプロジェクションシステムの試作を行い実現可能性を検討した.それぞれ少数のボランティアによる計測テスト・ユーザ評価を行い,改良すべき課題を抽出した.
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