研究概要 |
1. 家庭内の複数場所で運動を働きかけるシステムのコンセプト提案とプロトタイプ試作を行った.プロトタイプでは,RFタグによる複数ユーザの個人識別も実装し,洗面所でついでに行える下肢運動(スクワット,カーフレイズ)と肩ストレッチ,居間でTVを見ながら行える下肢運動(腿上げ,膝伸ばし)と腕伸ばし運動を,過去の実施状況やその日の運動状況(歩数計および自己申告)に応じて奨めるものである. 2. 並行して,システムに組み込み可能な要素技術の模索と開発・評価を行った.計測されていることを強くは意識させず何気ない動きの中での運動計測をめざし,日常で利用する道具へのセンサ組み込み,環境への埋め込みを試みた.歯ブラシに組み込んだ加速度センサによる歯磨き運動の計測,Wiiリモコンや床・壁に組み込んだロードセルによる運動計測を実現した.測域センサを用いて非接触で対象人物の大まかな位置を計測し,パラメトリックスピーカでその人にだけ聞こえるように呼びかけたり,方向を直感的に指示する音情報提示環境を試作した.種々の運動の検出・計測に用いる加速度センサの無線化を計り,ダンベルなどに組み込んで実証した.また歩行動作の改善評価に向け,基礎データの分析を行った.家庭用小型ロボットの控えめな働きかけに対する反応に基づいてユーザの状態(集中してTVを見ているか,たいくつしているか)を判定し,判定結果によって次段の働きかけを変えるしくみを検討し実装した. 3. 最後に,システムコンセプトの実現度を評価し,研究代表者自らが体験者となり,継続使用の阻害要因になる課題を抽出し,解決策を検討した.新たに開発した要素技術については,システムへの組み込み可能性を検討し,実装上の課題を抽出した.
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