本研究の目的は、体表点字を用いて盲ろう者が円滑なコミュニケーションを行うための方策の解明と実装をすることである。体表点字は体の任意の部位に装着した複数個の振動モータによる振動の有り無しから点字情報を読み取るというシステムである。 平成21年度の研究では、盲ろう者が赤外線通信方式による体表点字装置を実装したベストを着て、健常者が用いる携帯電話様の装置との間で体表点字での会話ができることを確認するとともに会話を円滑に行うための方策を盲ろう者の通常の会話方法をもとに調査する予定であった。 体表点字装置を実装したベストと健常者がもつ装置との間で赤外線により文字ベースでの会話が行えることを確認するとともに赤外線通信の確立の有無を利用して、盲ろう者に会話相手が近くにいることを伝えられるシステムとすることができた。これは赤外線の光量を絞り会話相手が1m位に近づいたときに相手側に赤外線が到達できるようにすることにより、両者の距離を会話ができる1m位であると盲ろう者に伝える仕組みである。これにより盲ろう者がコミュニケーションを始める前の段階での困難である会話相手の存在を知るという情報を提供でき、盲ろう者のコミュニケーションでの問題を1つ解決できた。 盲ろう者の会話から体表点字のでの会話を円滑に行うための調査はできなかった。来年度は、盲ろう者の生活実態を調査しどのような会話方法を行っているかを調べて体表点字装置に実装し、盲ろう者を被験者とする実験を行い、実験結果をもとに体表点字で円滑にコミュニケーションを行なえるように改良して実用化を目指す。
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