研究概要 |
該当年度の研究は,(1)安定歩行を実現する中敷きを製作するための歩行パターン計測用靴の開発及び(2)転倒を誘発する足部ロール運動を判定する中敷き形状の検討を行った.以下に,具体的な内容を示す. (1)靴底と地面との接地環境により上半身の動きが変化し,結果として,靴底に作用する重心位置が変動する.そこで,異なる接地環境における歩行動作を明らかにするため,センサを内蔵した中敷きを試作した.具体的には,中敷き部に使用するスポンジコア・ソフトラバーアクチュエータ内に圧力センサ及び小型圧力分布センサを組み込んだ中敷きを開発した.そして,センサからの信号を汎用SDメモリーに格納し,リアルタイムにセンサ信号を記憶する計測システムを構築した.ここで,計測用コンピュータとして,AVRを使用した.さらに,中敷きに計測用基板を格納するために,組み込み用回路製作装置を用いて制御専用回路を製作した.そして,製作した回路を歩行パターン計測用靴に内蔵し,歩行速度の違いによる中敷き部圧力値の変動を測定した.さらに,身体の運動を解析するため,加速度センサにより身体の動きを測定した.そして,加速度センサによる歩行時の身体運動及び中敷き部に格納したセンサ値の関係を明らかにした. (2)高齢者が転倒する原因の一つは,足部における重心位置が外側に移動し,ロール運動により転倒することが報告されている.そこで,ロール運動を中敷き要素内圧のみにより判定することができる中敷き要素の形状を明らかにするため,空気圧アクチュエータ及び6軸トルクセンサから構成される試験装置を製作した.そして,圧力変動からロール運動を判定する要素形状を明らかにした.さらに,中敷き要素を圧力調整することにより,重心バランスを変化させることができる可能性を示した.
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